期待値の大きさとコミュニティの拡大による変質について

インターネットに対しては、いつも楽観的でポジティブな意見を発信し続けていた梅田さんが怒りをあらわにした。

はてな取締役であるという立場を離れて言う。はてぶのコメントには、バカなものが本当に多すぎる。本を紹介しているだけのエントリーに対して、どうして対象となっている本を読まずに、批判コメントや自分の意見を書く気が起きるのだろう。そこがまったく理解不明だ。

このネガティブなメッセージは、『ウェブ進化論』という超ポジティブ作品によってリアルにいろいろ救われた自分にとって衝撃的だった。これはもしかしたら梅田さんの「ネットには絶望しました」宣言じゃないかと泣きそうになった。*1

どんな狙いが隠されているのか、それともストレートに思ったことを書いただけなのか、何故「バカなもの」という表現を選んだのか、このメッセージをはてなから離れた場所でネットに放つ意味は何か…というようなことを悶々と考えていた。

そのとき、増田にこんなエントリーが上がった。

もしひろゆき

2ch管理人であるという立場を離れて言う。2chのレスには、バカなものが本当に多すぎる。本を紹介しているだけのスレに対して、どうして対象となっている本を読まずに、批判コメントや自分の意見を書く気が起きるのだろう。そこがまったく理解不明だ。

と書いたら大爆笑ものだろう。

失礼かもしれないが確かに爆笑もの。この違いの根っこはどこにあるのか?

期待値の違い=怒る人と怒らない人の違い

「怒ってもどうにもならんなこれは」と感じたとき、人は怒るのをやめる。

裏を返せば、怒られているうちは期待されていると言える。

つまり、梅田さんのはてブの一部のユーザーに対する怒りは、期待の現れであると解釈することができる*2。ネガティブな形をとっているものの、実は前向きなメッセージであることに変わりはなかったのだ。

そして、ひろゆきがそれを言うと面白いだろうなというのは、2chという愛すべき馬鹿銭湯に対して、過度な期待を抱く管理人の姿を想像すると笑えるのである。

コミュニティサイズの拡大による避けられない変質について

一時、はてなユーザーにはGeekが多い、と言われていた時期があった。

Geekというのは変化を好み、変化を作る人種である。こういう人達が集まると、非常に建設的なコミュニティができあがることがある。なぜなら、情報のやりとりの多くが変化のために費やされるからだ。(その変化は常に進歩である。)

そのようなコミュニティでは単なる否定は存在しにくい。あるのは批判と提案と実装がほとんど。無論、本の内容を読まずに否定するような阿呆などほとんどいない。変化の芽を叩き潰して喜ぶような暇人も少なかっただろう。

ところが、ユーザー数が増えてくるとこんな変化が起こると想像する。

  1. 変化を好まない保守的なユーザーの増加&変化を好むユーザーは少数派へ
  2. 付和雷同する群れが発生することで「叡智の群集化」は「衆愚」へ変質

この2つは、梅田さんが望む(と私が勝手に思っている)前向きで建設的なWebとは真逆のベクトルを持っている。2007年末から続く梅田さんの怒りは、はてなというコミュニティの、ひいてはインターネット全体の参加者の割合の変化にも原因があるのかもしれない。

そして、これをどう乗りこなしていくのか?が、今の はてな の大きな課題なのだと思う。あー余計なお世話ですか、そうですか。

具体的な対策はあるのか

  1. 期待値を下げる(これは可能なら避けて欲しいような気も)
  2. 『変化』を支援する取り組みを始める(あーデジタルネイティブ的な?)
  3. ユーザー達の、前に進もうとする力に期待する(=何もしない)

うーん、システム的に『群れさせない』対策があれば良いのだけど、今の魅力を壊さずに群れなくさせるなんてほとんど無理っぽい。いまいち具体的なアイディアが出てこないなぁ。

というわけで

はてなブックマーク2に期待しています!

余談

はてブ2にブラック★スターなどでモデレーションを実装して欲しいけど、今後のはてなユーザーのマジョリティが、変化を好まず、群れることを好む人達で占められるとすれば逆に危ない対策なんだなと思う。

あと「ただの炎上マーケティングだろ?」って話は(∩゚д゚)アーアーきこえなーい

*1:それが勘違いであることは「はてなブックマーク - umedamochioのブックマーク / 日本語が亡びるとき」の登録速度を見てすぐにわかった。流石だ…。

*2:梅田さんのネットに対する付き合い方は、新しいフェーズに入ったようにも思われるが。実際どうだろう?