ニコニコ動画をテクノロジーで黒字化する究極の一手

会員総数930万人を突破したニコニコ動画は未だに赤字のようだ。

2007年10月〜2008年6月のニコニコ動画の収支(PDF、15ページ目)を見ると、

大体こんな感じになっている。(数字の単位は百万円)

時間と共に費用(赤線)売上(青線)の差がどんどん開いて行っているのが明らかに判る。2008年4〜6月辺りでは、ついに売上の倍程度の費用がかかってしまっている。

この状態で「将来黒字化します!」なんて、よっぽど具体的で明るい見通しが立ってるか、ものすごく根性が座ってる人しか言えないよなぁ…。

だが期待できる点がいくつかある

■会員数の増加スピードが鈍ること(予想)
流石に930万人もの会員がいれば、会員数の増加は落ち着くだろう。すると、動画配信にかかるコストの増加も落ち着く可能性が高い。

もしこの想定通りになるとすれば(よっぽど大規模な機能追加などをやらない限り)コストは現状の水準を維持できるはず。

■広告出稿需要が多いこと(事実)
ドワンゴの資料(PDF、16ページ)によると、『広告出稿需要>広告枠供給』という状態のようなので、単純に広告枠を増やせば広告収入が増えることになる。

■新しい市場が誕生すること(妄想)
現金でもニコニコポイント的なもの経由でもいいんだが、ニコニコ動画で言うところの「振り込めない詐欺」を撲滅する。面白いコンテンツを投下した人に対しては、動画を見た人がなんらかの直接的な貢献ができるようにする。

ポイントは現金で購入できる他に、有料会員には毎月100ポイントぐらいを付与する。

自動付与されたポイントは、1ヶ月間持ち続けてると消えるように設定しておき、ポイントの流動化を促す。なお101ポイント未満は換金できないようにしておく。

このポイントの流れによって、User Generated Contentsが充実→サイトが活性化することになれば、ニコニコ動画の黒字化への道がまた一歩近づくかもしれない。

ただ動画配信のコスト増加を考えると、黒字化が遠のく可能性もあるよね…。

そこで究極の一手ですよ戀塚さん!

ビジネス的に頑張る話ではなく、技術力でどうにかする話で、

動画配信部分をP2P化してコスト削減を行うのだ

具体的には、ニコニコ動画専用のP2P機能を持った『ニコニコBrowser』を作成する。(Firefoxをベースにして、普通のBrowserとしても使えるようにする。)

各ニコニコBrowserは、起動されるとインターネット上にオーバレイネットワーク(ハイブリッドP2P)を形成し、ニコ動にUPされた動画に限定して分散キャッシュ&共有する。

自分が見た動画はキャッシュされ、いつでも快適に見られるようになる。人気の動画であるほどたくさんのクライアントにキャッシュされているので、より素早く動画の再生が開始できるようになる。

特に、今までだったらアクセスが増えて処理が重くなる夜間の時間帯の方が、多くのユーザーがネットワークに参加するため快適度は向上することになる。これがニコニコBrowserを使用するインセンティブになる。

ニコニコBrowserネットワーク上に動画のキャッシュが無いときは、ニコ動本家のサーバからダウンロード→キャッシュする。

まとめ

ドワンゴには優れたプログラマが多くいると聞いたことがある。ならば、そのリソースを使って『ニコニコBrowser』を作成し、テクノロジーによってニコニコ動画を黒字化する!というのも夢物語ではないと思う。

あと、P2Pならキャッシュだからダウンロード違法化でも安心ぷー

追記

コメントを頂いて、生放送のリレー化という案に思い至った。

  • 動画データのP2P受信、配信
  • 生放送のリレーサーバ機能、近くのリレーサーバからの受信機能

この2つがニコニコBrowserに実装されたら、ニコ動の黒字化には大きく寄与するはず。試算はない!

追記2(2008/12/20)

RTMFPを使えばブラウザレベルでP2Pが実現できる。

動画を仮想カメラデバイスとしてRTMFPで流すことが可能かもしれない。それができれば、夜間のユーザーのアクセスが多い時間帯なら、もしかしたら実用レベルに持っていける可能性もあるかも?