ネットが衰退しちゃったら大変になること

GoogleによるBook Rights Registryと、Google Book Searchの両取り組みによって、書籍の電子化がいっそう進むことになった…と思う昨今。

小説「人類は衰退しました」の中で、電子情報網を失った衰退した人類(主人公)が情報の価値について下記のように語る部分がある。

電子情報時代の情報ほど確実性に乏しいものもありません。一時は盛んにサルベージされていたようですが、あまりにも不毛な作業だったため今では誰も見向きもしていない分野です。なんせ嘘だらけ。情報言語学には手を出すな。
むしろ電子情報がない時代の記録。こちらが重要です。

ううむ…フィクションの小説とはいえ説得力がある気がする。

本質的に、保存や頒布にコストがほとんどかからない媒体というのは「取り扱い注意」なのだと思う。価値あるものだけを残そうとする機能*1が働かないという一点において。

いや、電子媒体を否定する気は毛頭ない。ある電子情報があったとき、その意味を理解できる人間がネットワークに参加している限り、「価値」を評価する機能は働き続けるだろう。しかし、ネットワークが死に絶え、過去の価値評価の記録(≒Google)が消失し、電子情報に付随するPermalinkも失われたとき、個々に独立して存在する電子情報の価値を判定する手段はあるだろうか?

情報の内容に応じた専門家が、その情報の価値を算出すれば良い。だが電子情報の数は紙媒体の数とは比較にならないほど増えている。実際そんな状況になったら、これはかなり難題かもしれない。

ネットワークが死んだときのサルベージ戦略

  1. 価値評価データベースを優先サルベージする=Googleはてブ、他
  2. 論文など、単体でもある程度信用できる情報を狙う
  3. 自分の専門領域の情報を狙う

他にもあるだろうか。

まとめ

人類は衰退してもいいけど、インターネット自体が衰退しない方向に進まないと、電子の情報世界は大混乱かもしれません。気をつけましょう。

*1:なんか人類全体がボンヤリとそっちの方向に動いていくというイメージ