トラップと呼ぶのをやめましょう、という話
えーおはようからおやすみまで、ボンヤリしているAobaです。
今日はサッカーの話です。興味がない人は今すぐブラウザを閉じて、私と一緒に柏レイソルの応援へ行きましょう!かしーわレイソル!かしーわレイソル!
ふぅ…。さて、サッカーではボールを受ける(止める)技術のことをトラップといいますが、最近はトラップと呼ばずファーストタッチと呼ぶことが増えてきましたよ、という話です。
なんでそうなってきたの?
3行でまとめると、
- カウンターの重要性が増してきた
- 縦に早く動く価値が増してきた
- 『ボールを止める』能力だけを切り取って評価する意味がなくなってきた
ということです。それぞれ見ていきます。
1. カウンターの重要性が増してきた
その変化は、サッカーの統計によって確定的になりました。
2008年ぐらいに、岡田監督が以下のように語っています。
トップレベルだと今、得点の約40%はフリーキックやコーナーキックなどのセットプレーから生まれます。
(中略)10%は、キーパーのチョンボのような、どうしようもないアクシデントから生まれます。そして残り50%のうちどれくらいが普段よく言われたり、練習したりしている「後ろからボールをつないで相手を崩して点を取る」ということなのかというと、世界でも15%くらいです。日本のチームだと10%を切る。では、それ以外はどういう得点なのかというと、相手のボールを奪って速く攻めていくカウンターアタックなんです。
トップレベルのサッカーでは、全ゴールのうち35〜40%ぐらいは「ボールを奪ってから10秒以内」に生まれてるんですね。そんなこと私は友人から教えられるまで、まったく気が付きませんでした。
また、それが年々早くなっているのです。その結果どうなるかというと…次に続きます。
2. 縦に早く動く価値が増してきた
ボールを奪った!カウンターアタック!という時に重要なのは縦のスピードです。具体的には縦パスです*1。これが統計的に見ても明らかにゴールに直結するようになってきたわけですね。
しかし、守備側も縦パスは危険だってことを知ってるので見逃しません。
ボールを縦に入れられた瞬間に「前を向かせないようにプレッシャーをかける」「ボールを受ける選手より瞬間的に前に出てボールを奪う」などを行ってきます。ボールを受けて前を向けるかどうか、相手のプレスをかわせるかどうかの攻防は、ボールを受ける瞬間*2、つまりファーストタッチの瞬間から始まっているわけです。
3. 『ボールを止める』能力だけを切り取って評価する意味がなくなってきた
そういう状況で、
- トラップ!:まずボールを止めようと考えている選手
- ファーストタッチ!:いきなり次のアクションをしようと考えている選手
どちらが得点に近づけるか?どちらが守備側の脅威となるか?を考えると、確実に後者ですよね*3。
しっかりボールを止める技術は基礎として依然大切なのですが、ボールを受けた瞬間にワンタッチで意図した通りにボールを動かすことの方が、より強く求められるようになってきているわけです。
まとめ
さあ、あなたも今この瞬間から「トラップ」と呼ぶのをやめて「ファーストタッチ」と呼んでみましょう。それだけで少しサッカーの意識を変えることができます。私のように観戦しているだけの人でも、意識が変わると見所が変わるので、よりサッカーが面白くなりますよ。
追記 2013/05/19
ファーストタッチに関して、今最も注目しているのはセレッソ大阪の柿谷選手です。
彼はとある番組のインタビューに答えて曰く「シュートが入るかどうかは、ファーストタッチで決まる」と言っていたそうで「ファーストタッチで置く場所が良ければ、あとは蹴るだけで決まる」と。それを見事に毎試合実践してくれています。つい先日、私が応援している柏も、彼の魔法のようなファーストタッチにより粉砕されました…くそぅ…。
来年、柿谷が日本国内にいるかどうかは微妙な状況だと個人的に思っているので、あの誰も思いつかない所にポンっと置いたり出したりするファーストタッチを、今のうちにスタジアムに足を運んで見に行く価値は十分あると思います。
自分の子供にサッカーをやらせている親御さんたちも、今、子供に柿谷のプレイを見せないのは大きな損失ですぞ!高い技術に裏打ちされたファーストタッチのプレイイメージの広さは随一です。柿谷のようにファーストタッチで勝負を決められるようになると、ディフェンスとしてほぼ止めようが無いですからね。
ではではー。
# そのうち「カキタニ」っていうファーストタッチの技ができるんじゃないかなあ…