自分のことが嫌いな人は何故幸せになれないのか?

どうやら「自分のことが大好きです!」とか「自分はツイてると思います!」と公言できる人は少数派のように思われます。データはありません。

かくいう私も自分のことが大嫌いでした。人と違って誇れるようなものは何もないし、特に思想も行動規範もない薄っぺらな人間だし、それを一番よく知っているのもまた自分だったから。

しかし、自分自身を嫌いになっちゃうと人生がうまく回らなくなるんですね。今日は何故そうなるのか?その構造について解説を試みます。

1. 自分が嫌い=自分に価値は無い

嫌いなものって、自分にとって価値はないってことになりますよね。
パクチーが嫌いな人は、パクチーなんてこの世に存在しなければいいのに、と思ったりします。何の価値もないどころかマイナスだわ!と。それと同じで、自分のことが嫌いな人は「自分にとって、自分に価値はない」と感じます。

この認識は、複数のルートでじわじわ形成されます。一つは他人から。もう一つは自分から。

1-A. 他人から「お前に価値はない」と思わされる

どのような文脈であれ、他人から否定(無視を含む)される度に「ああ自分には価値が無いのだ」と思い知らされます。それが常態化した環境に身を置いてしまうと、認識を立て直すのは難しくなります。てことで、家族や同居人から否定されまくる環境というのが、人間がもっとも避けるべき環境だろうと推測されます。

1-B. 自分から「わたしに価値はない」と確認する

失敗するのって嫌ですよね。できればいつもどんなチャレンジにも成功したい。でも、それは実現不可能なこと。だから失敗を極度に恐れる人は予防線を張ることを覚えます。「きっとダメさ」と。その上で失敗すると「ほら見ろ、やっぱりダメだったろう」と。これが続くと「自分はダメ」という事実が繰り返し証明されるわけで、その認識がどんどん強固なものになっていきます*1

2. 価値がないものを大切にしてる人の価値は下がる

プラスチック製の偽ダイヤを「これは本物のダイヤだ!価値があるんだ!」と言い張って大事そうに金庫にしまってる人を見ると、ちょっと残念な気持ちになります(そう感じない人もいるとは思いますが)。
それはプラスチック製ですよ、と何回教えてあげても「いいや、これは本物だ!間違いない!もう数千万円の保険もかけたぞ!絶対手放さないぞ!」と聞く耳を持ってくれません。この人、馬鹿なんじゃないだろうか…とか思っちゃいますよね。

3. 自分を大切にしてくれる人の価値が下がる

上記1と2により、自分に価値はないと思っている人は、自分を大切にしようとしてくれる人や、「あなたが好き」と言ってくれる人に対して価値を感じなくなります。
むしろ「この人、馬鹿なんじゃないだろうか」と心配になったり、「わたしは騙されてるんじゃないか?」と疑心暗鬼になったりします。だって、プラスチック製の偽ダイヤを大事にしてるオッサンと同じですからね。

4. 自分を大切にしない人の価値が上がる

「わたしのことなんか好きにならない貴方が好き」というのは、ここに当てはまります。
自分自身に価値が無いと思っているので、価値がないものに振り向かない人の方が正しく、かつ物事の価値を正当に判断できる「価値ある人」に見えてしまいます。ここにハマると、あとはもう不幸せまっしぐらです。自分に向けられる否定をすべて肯定し、逆に肯定をすべて否定して生きることになるからです。

結論:自分を嫌いな人は自分を幸せにすることが難しい

上記の通り、自分を否定する人や環境を好んで選ぶようになるからです。
その方が、自己認識との矛盾が無いから不安にならずに済むんですね。人は不安を遠ざける道を選びます。ただし(自分嫌いな人の望み通り)自己の存在を否定されるので、いちいち死にたくなったりします。好ましいと感じて選ぶ道が絶望にさいなまれるルートであることが確定してるので、自分嫌いな人は大変しんどいです。

もう一度言いますと、自分を嫌いな人は自分を幸せにすることが構造的に難しいのです。

…だからと言って、突然自分好きになれ!と言われても無理があるでしょう。なので、さしあたって、自分嫌いな人は「自分を不幸にする選択をしがち」ってことを念頭に置くだけでも何かが変わるように思います。あと「ごめんなさい」より「ありがとう」ね。これ意外と大事。

歳を重ねると、そのうち「こんな自分でも悪くないかな…」と思える日が自然と来ちゃいますから、それまでは面倒くさい自分を楽しんでください。それは青春と同じで、今だけ楽しめる特権です。

補足:否定は敵ではない

否定がなければ改善も成長もありません。

なので、不必要に否定を恐れる必要はないわけですが、大切なのは否定のみにならないこと。否定と肯定を行ったり来たりすることだと思っています。それは自分に対しても、他人に対しても同じですね。

ではでは、より面白い「自分嫌い」ライフを。

*1:行き着く先は「どうせダメだから何をやる気も起きない」だったりします