なぜディズニーランドのバイトの質が高いのか?

私の答え(仮説)を3行で説明すると、

  • ディズニーランドを愛してる人しか応募してこない
  • ディズニーランドを愛してる人のトップ数%しか採用されない
  • ディズニーランドを愛してる人が上司になるためその要求も高い

となる。

つまり、ディズニーランドは有象無象のバイトの質を、なんらかの秘密の法則によって高めたのではなく、彼らは彼らの生産物(ディズニーの作品)によって熱狂的なファンを増やし続けており、その中からごく一部がアルバイトという形でディズニーランドに貢献しているから、バイトの質が高いのだ。

バイトは金のために働くと思ったら大間違い

自分が夢にまでみた世界の中で働くこと。そして自分も人々に夢を与える存在の一部になること。こんなに生きがいのある仕事が他にあるだろうか。ディズニーランドのバイトからすれば、あの場所が己が輝く舞台なのであり、夢の到達点、または出発点なのである。

ただし真似できません

人に夢を見せたり、夢を具現化する唯一無二の仕事は、強烈に人を惹きつける。
ディズニーランドしかり、Appleしかり、昭和の頃のソニーしかり。
その構造は、自分たちの価値を人々に伝導するという視点で、宗教とも似ている。

そういう企業や組織であれば、そこで働く人たちの質は、採用とタスクと信頼の与え方次第で極限まで高めることができる*1

逆の場合、つまり競合との競争にあえぐ企業や組織ならば、ディズニーランドやAppleのような個々の質を望むのはやめた方が良い。あれは人々から熱狂的な『肯定』を集めている集団だけが取れる手法であり、一般的な経営者が一朝一夕に真似してできることではない。これは採用や教育だけでなく、マーケティングの領域でも同様ですね。

そこから得られる教訓は?

成功者の法則の中に、真似するだけで応用が効く法則など一つもない。

なので、成功者や天才のやり方、生き方を見るときには「どのような法則があるのか?」ではなくて、「なぜそのような法則や価値観を持つに至ったか?」その経緯に着目しましょう。もし、その点を読み解けたならば、きっと今日からいきなり役に立つ重大なヒントが見つかることでしょう。

*1:無論、全員を狂信者だけで固めてしまったら崩壊するし、コストが重要課題に据えられるような組織において狂信者は邪魔なだけだが