SQUARE-ENIXが開発した「ロストウィンズ商法」がすごい

ロストウィンズというWiiウェア*1を買った。価格は1000円。操作感がなかなか面白いゲームなのだが、あっさり終わってしまった。アクションゲームに不慣れな人(うちの彼女さん)でさえ、エンディングまで2時間ちょいのボリュームである。

しかーし!ロストウィンズは「つづく」のだ!

エンディングで、ここまで明示的に続編の存在を匂わせるゲームって今まで経験したことがなかったので、その商法に驚いた。

ロストウィンズ商法とは

1本のゲームを1000円ずつダウンロードで分割販売すること*2

通販会社と同じ商法である。「人間は予想通りに不合理な生き物なので、それなりにお高い商品でも、1000円ずつの分割払いだったら安く感じて買っちゃう」という習性をくすぐるやり方だ。

メーカー側のメリットはたくさんある。

  1. 流通を中抜きしてコストダウンしている*3→利益増
  2. 人気が衰えるまで続編を出し続ける→低い開発費で売上増
  3. 人気が高まればパッケージ版の製作・販売に低リスクで打って出ることができる→テストマーケティングを兼ねている

一応ユーザー側にもメリットはある。

新しい試みを取り入れた斬新なゲームを9800円とか出して買うのはリスクが高いのだが、1000円程度だったら被害も小さいので「買ってみっか」ってなれること。それで面白いゲームを発掘できたらラッキーなのである。

というわけで、メーカーとユーザーでWin-Winの関係が築けてる…か?

ユーザーが支払う金額は変わらないし、販売店は泣いている

私はパッケージ販売されてるゲームの値段は高すぎると思っている。もちろんそれは自分が貧乏だからだが、体験版も無いのに9800円とか、売り方が下手な情報商材みたいに見える。

そこへいくと、WiiウェアDSiウェアを初めとして、最近かなり盛り上がってきたダウンロードコンテンツ市場では、媒体*4の製作費用&流通コストがかかっていない。よって、その分だけ安く販売できる!というのがダウンロードコンテンツの強みの一つだったはず。

ところが、「ロストウィンズ商法」をマジでやられたら、ゲームの価格は結局下がらないことになる。1000円ずつ1章〜10章まで続編を出せばTOTALでは1万円になるからだ。

ユーザーは(クソゲーに大金を払ってしまうリスクが下がるものの)ゲームのコストダウンの恩恵は得られず。リアルなゲーム販売店に至っては完全に蚊帳の外である。

ウハウハになるのはゲームメーカーのみ*5。一人勝ちである。

商品価格を高めるのは決して悪いことではない

商品価格が安かったら食っていける人が減るから。個人的には「すべての商売人は売れる限り、限界まで高い値段で売る」というのが基本のスタンスになれば良いとさえ思っている。

ただ、あんまし高いと客が離れるってだけで。

任天堂マイクロソフトSCE、その他DLC市場を作る人達にお願い

ダウンロードコンテンツは、

  1. 体験版を用意して欲しい*6
  2. ユーザー評価をオフィシャル環境で明示的に共有させて欲しい
  3. ネタバレにならない部分のプレイ動画をネットで共有させて欲しい

そしたら広告宣伝費なんかゼロでも『良い物が売れる世界』がやってくる!断言する!*7

*1:Wiiショッピングチャンネルダウンロード販売しているソフト

*2:続編も1000円で出るかどうかは知りませんが

*3:だから分割した低価格販売が可能になった

*4:ROMカートリッジとかCDとかDVDとかBlu-rayなど

*5:DLC市場を運営している企業も儲かる

*6:せっかくダウンロードできるのだからお試ししたい!あと、ロストウィンズにも「体験版」があれば、初回からもっとボリュームがあるゲームになったに違いないという打算もあり

*7:ゲーム販売店の生き残り戦略は別途考えよう…