第1回 株式会社はてなに学ぶ

「やらされ感」とは、「やれ!」と言われたので仕方なくやっている、と感じる状態のこと。また、その状態のままで行う仕事を「やらされ仕事」と呼ぶ。

やらされ仕事に対しては、やる気も出ないわ頭も働かないわ面白くないわで、命令した方にとっても、された方にとっても、なんだか残念なプロセスと結果を生みがちになる。

無論、たとえやらされ仕事だとしても、自らモチベーションをアップさせて必死で頑張るのが大人な社会人の対応だとは思う。それでお金をもらっているなら尚更である。しかし私は思う。何か、やらされ感を撲滅する方法があるんじゃないか?と。

はてなの「やらされ感撲滅」戦術

だいぶ古い話になるが、梅田望夫氏が語る「株式会社はてなの運営方法」に注目した。

この動画の4:28付近から。

取締役会で物を決めるでしょ?で決めたら、じゃ次に誰がこれをやるんだ?ってことを話そうねっていうと、近藤とか伊藤とかね、彼らから「待った」がかかるわけだ。そっから先はエンジニアが決める、と。

取締役会で物を決めるという概念すら、普通とちょっと違う。

例えばね、その時に僕が一番驚いたというか、なるほどなと思ったのは、CTOの伊藤直也が前の会社に居たときにBlogのシステムを立ち上げたいと思っていたと。思ってたのに、上から立ち上げろと言われた。だからもうつまんなくなった。モチベーションが10分の1ぐらいになったと。

ていうことはね、自分はそうだったんだから、はてなの会社の中も、皆そうであるに違いないから、ここ(役員会)で決まったことというのは、皆(役員)が心の中では持っていて、その決まったことと合致したことが下から上がってきて「やりたい」って言ったら「やろう」ってことになるんだけど、絶対上からは下ろさない。

これは会社という組織から「やらされ感」を撲滅する戦術だ。

  • 役員会はする。決まったことは心の中にもっておく
  • 命令はしない。部下が「やりたい」と言うまでひたすら待つ
  • 部下が乗ってきたら一気呵成に作る

これは究極の形だ。完璧に実施できれば、やらされ感が一切発生しない。

はてな戦術の弱点

  • 今やらなければいけない類の仕事に対しては使えない
  • 世の中にあるほとんどの企業では真似できない

もし自分が会社を作ったら、できればはてな戦術を実践してみたい。でもたぶん無理だろうと思う。お金のためにやらなければいけない仕事が絶対に出てくるし、それをこなさなければ従業員の給料が払えないだろうから。

うーん。何かもう少し仕事全般に対して適用できる「やらされ感撲滅方法」がきっとあると思うのだが。さらに考えてみたい。