人を変えるための対立軸の演出とコントロール
PHPがいかに駄目な言語か、という話。
(中略)
特に「PHPは初心者に学びやすい(と言われていることが問題である)」という部分に共感する。 PHPは初心者に簡単かもしれないが、初心者による手を抜いたWebアプリケーションは PHPが作られた当初はともかく、現代では害悪ではないだろうか。Webアプリケーションをなめるな
うーん…このエントリを読んで「ああ、Webアプリケーションってなめちゃいけないんだな」という気持ちになる人はどれくらいいるのだろうか?そして、初心者プログラマはPHPの駄目さに気がつけるのだろうか?
私には、どうもそうは思えなかった(初心者なのかもしれない)。
真逆の立場の発見
そんなとき、上記Matzさんのエントリに言及した増田を見つけた。
趣味でやってるプログラミング初心者の立場で言わせてもらう。だいたいな、あんたらプロのプログラマが小難しい顔してセキュリティセキュリティ言うもんだから初心者プログラマのセキュリティ意識がまったく向上しないばかりか、よけいに低下するんだよ。
(中略)
だからおれは全世界の初心者プログラマおよび潜在的プログラマにこう告げる。PHPでどんどん作れ。
(中略)
セキュリティとか気にするな。そんなもん気にして途中であきらめるよりお前が実際に何か作る事の方が大事だ。
これはすげえ!と思った。納得してしまった。
私は今ままで「セキュリティなんて考えずにどんどん作れ」なんていう立場は、存在そのものが許されないものだと思い込んでいた。しかし、その反対勢力を認めることによって、
- セキュリティを考えろ!派
- セキュリティなんて考えずにどんどん作れ!派
という対立軸が生まれる。
対立軸の価値
この対立を見た人の多くは、どちらの主張が納得できるか?を考えるだろう。それは自身の立場を自分で決めることとに近い(無論、納得と立場が逆になるケースもよくあることだが、『考えることになる』のは同じである)。
で、えーと何か唐突ですが、人間って「やれ!」と言われるとやりたくなくなる生き物じゃないですか*1。でも自分で選び取ったものなら、他人から「やれ!」と言われたものではなくなる。この些細な違いは、とてつもなく貴重な違いだ。なんせ、人が『自発的に考える状態になる可能性がある』ってことだから。
対立軸を判り易く見せるということにはすごい効果があるのでは?
ここで「考えずにどんどん作れ!派」に強烈なタレントの登場
セキュリティの穴を突くいたずらで有名な、はまちちゃんが参戦。
あのね、セキュアじゃなきゃ公開するなとか言ってる人たちよりも、
穴だらけで、拙いソースコードでもいいから
面白いもの便利なものを公開する人の方が、ずっと世の中に役立っているんだ。
(中略)
そして、少しでも作ることの防げとなるくらいなら、
セキュリティのことは、全く考えなくていいよ。
はまちちゃんに太字でセキュリティのことは、全く考えなくていいよと言われると怖い。「セキュリティのことは、全く考えなくていいよ。(ぼくが楽しめる世界を作るためにね!)」みたいに聞こえてくるのだ。さすがに考えすぎだと思うけど。
でも、このエントリによって「ああ…これはセキュリティ真面目に考えないかんわ」って自発的に思う人が何人かいると思う。少なくとも私はそう思った。
強引なまとめ
対立軸の効果って面白い。政治には昔から今でもよくある手法だと思うけど、これを教育方面に応用できないだろうか?
あと反対勢力を殲滅しようとするのは賢くないやり方なのかなと実感しつつある。自分、歳を取ったんだなぁ…。