雪かきコンサルタント

私は誰かから「職業は?」と聞かれる度に、首を捻りながら「コンサルタント?」と答える。答えながら自らに疑問を投げかけてしまっている。ちょっと自分自身、コンサルティングをしてるだなんて、口が裂けても言えないからだ。ドキュメントとかあんま作らないし、経理回りについても詳しくないし、大それた提案もしないし、調査って言えば基本的にネット頼みだし。とどのつまり落ちSE(落ち武者のニュアンス、子守から引越しから畑仕事から社内政治調整まで何でもやる)のような仕事をしているので。で、コンサルって答えると決まって「何系の?」と聞かれることになる。
大昔は「あー…IT系?」と答えていたのだが、これがすこぶる恥ずかしい。恥ずかしいのは自信の無さもあるが、なんというか、こんな曖昧な表現でしか伝えられない職業ってどうなのよ!という点が問題だった気がする。IT系って答えても結局また「どんなことやってんの?」聞かれるハメだし。
ちょい昔は「あー…情報技術系?」と答えるようしていた。これはIT系より少しマシである。漢字を当てただけで若干分かり安い。世に言うオトンオカン世代でも多少は分かってくれる。でもやっぱり聞かれる「で、結局何?」て。
最近では「用心棒」と答えるようになってしまった。これはもうコンサルでもなんでもない。「IT系コンサルタント」よりも余計に理解しづらくなってしまう場合もあるようだ。何より怪しい。とことん怪しい。自由業に近い。
でも今日からは「雪かきコンサルタント」を名乗ろうと思った。これは皆が得意分野を持ってバリバリやりたい仕事をやる中で、誰もがやりたくない雪かきのような片付け仕事をバリバリ消化していく、という今までにないコンサルの形だ。ああ、もうコンサルって言っていいのかどうかも微妙だ。(それは最初から微妙だったからいいや。)
でも、日本海側の地方に行って「雪かきコンサルタント」を名乗ると、村をあげて歓待されたあとで、村長さんから「じゃ、お願いしますか」とか言われて屋根に上らされそうで怖い。違う、雪かきって言ってもそういう意味じゃない。でももう遅い。村中の家の屋根に上って決死の覚悟でスコップを打ち振るう日々が始まる。でも、コンサル精神は忘れないから積雪問題を根本的に解決するソリューションを考えて、実現したりしちゃうのね。すっげー英雄だ、雪かきコンサルタント待望論だ。

「雪かき」の語源、出展はこちら → 内田樹の研究室:即戦力といわれても